費用の総額目安|30坪木造戸建てのモデルケース
まず全体像を掴むため、よくあるケース別の総額目安をご紹介します。
| ケース | 費用総額 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 現況売却(家財整理+仲介手数料) | 50〜100万円 | 家財整理 25万+仲介手数料 50万+登記関連 |
| 解体して土地売却 | 150〜400万円 | 家財整理 25万+解体 120万+仲介 50万+諸経費 |
| 賃貸活用(リフォーム+管理委託初期費用) | 300〜800万円 | リフォーム 200万+管理委託+諸経費 |
注意していただきたいのは、これらは「自己負担ゼロ」の数字ではなく、最終的に売却益から差し引かれる金額だということです。たとえば実家が 2,000万円 で売れる立地なら、現況売却で手取り 1,900万円前後、解体しての土地売却で手取り 1,600万円前後といった具合に、最終的に手元に残る金額で比較するのが正しい判断方法です。
費用シミュレーター|まずは数字を動かして体感する
文字で読むより、数字を触る方が早く理解できます。下のシミュレーターで間取り・売却方法・補助金の有無を変えてみてください。手取り額がリアルタイムで動きます。
間取り
売却見込み額:2,000 万円
売却方法
空き家3,000万円特例の適用
昭和56年5月以前築・被相続人の1人住み・3年以内の譲渡などが主な要件。詳細は補助金記事を参照。
RESULT
お手元に残る金額(概算)
①家財整理・不用品回収費(15〜80万円)
家財整理は、実家じまいで最も時間と労力がかかる工程であり、業者依頼が前提なら 15〜80万円程度かかります。
業者依頼の費用相場
| 間取り | 費用相場 | 作業時間 |
|---|---|---|
| 1K・1DK | 5〜12万円 | 半日〜1日 |
| 2DK | 15〜25万円 | 1〜2日 |
| 3LDK | 25〜45万円 | 2〜3日 |
| 4LDK以上 | 45〜80万円 | 3〜5日 |
埼玉県内の戸建てで一般的な 3LDK〜4LDK だと、25〜80万円が業者依頼の相場となります。
自分でやる vs 業者依頼の判断軸
「自分で片付ければタダ」と考える方も多いですが、実際にはこれが大きな落とし穴になります。
- 家財が少ない/自治体ごみで処分できる
- 平日に動ける時間がある
- 形見分けに時間をかけたい
- 体力に自信がある
- 家財が多い/粗大ごみが大量
- 遠方居住・通えない
- 早く処分したい
- 高齢・体力的に厳しい
AFTER
搬出後の同じ部屋。床が見え、買取査定で 8万円分を回収。
BEFORE
物が溢れた居室。家具・家電・衣類が床まで積み上がった状態。
②解体費用(90〜400万円)
解体費用は、構造と立地で大きく変動します。実家じまいで最も金額のブレが大きい項目です。
構造別の坪単価相場(2025年データ)
| 構造 | 坪単価 | 30坪 | 50坪 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 3〜5万円 | 90〜150万円 | 150〜250万円 |
| 鉄骨造 | 4〜7万円 | 120〜210万円 | 200〜350万円 |
| RC造(鉄筋コンクリート) | 6〜8万円 | 180〜240万円 | 300〜400万円 |
坪単価以外に発生する付帯工事費
坪単価 × 坪数だけで終わらないのが解体費用の落とし穴です。以下の費用が別途加算されます。
| 付帯工事項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 庭木伐採・抜根 | 1本 5,000〜30,000円 |
| ブロック塀撤去 | 1m 5,000〜10,000円 |
| カーポート撤去 | 30,000〜100,000円 |
| 物置撤去 | 20,000〜50,000円 |
| 浄化槽撤去 | 50,000〜100,000円 |
| 井戸の埋め戻し | 50,000〜150,000円 |
| 地中障害物の撤去 | 50,000円〜数十万円 |
解体費用が跳ね上がる3つの要因
- 1
アスベスト含有建材
昭和56年以前に建てられた家は、屋根・外壁にアスベストが含まれることも。調査・除去は別途 5万円〜数百万円。2023年10月以降は事前調査と報告が法的義務。
- 2
狭小地・密集地での手壊し作業
重機が入れない現場では人の手で解体。通常の解体費用の 2〜3割増しになります。川越・浦和・川口の密集地などで多発。
- 3
残置物の大量放置
丸ごと解体は産業廃棄物処分費が跳ね上がります。家財整理だけ事前に済ませると 10〜30万円抑えられるケースも。
③売却関連費
仲介手数料
仲介売却を選んだ場合、不動産会社に支払う成功報酬です。法律で上限が決まっています。
| 売却価格 | 仲介手数料の上限(税込) |
|---|---|
| 1,000万円 | 39.6万円 |
| 1,500万円 | 56.1万円 |
| 2,000万円 | 72.6万円 |
| 3,000万円 | 105.6万円 |
| 5,000万円 | 171.6万円 |
測量費(35〜80万円)
境界が未確定の場合、土地家屋調査士に依頼して測量・境界確定を行います。築古の実家では境界標が失われているケースが多いので、買主の要求次第で発生します。
④相続・登記関連費
2024年4月の相続登記義務化により、避けて通れない費用となりました。司法書士に一式依頼すると合計 10〜20万円が相場です。
⑤税金(譲渡所得税)と空き家特例
売却益が出た場合の税金です。特例を使えるかどうかで税額が数百万円変わるため、必ず売却前に確認してください。
譲渡所得税の税率(2026年5月時点)
| 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 5年以下(短期) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
| 5年超(長期) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
ケース別の手取り試算|30坪木造戸建てを2,000万円で売却
| 売却価格 | + 2,000万円 |
| 家財整理費 | - 30万円 |
| 仲介手数料 | - 72.6万円 |
| 印紙税 | - 1万円 |
| 相続登記費用 | - 15万円 |
| 譲渡所得税(空き家特例適用) | 0円 |
| 売却価格 | + 2,000万円 |
| 家財整理費 | - 25万円 |
| 解体費 | - 130万円 |
| 仲介手数料 | - 72.6万円 |
| 印紙税・登記 | - 16万円 |
| 譲渡所得税(空き家特例適用) | 0円 |
| 売却価格 | + 2,000万円 |
| 家財整理費 | - 25万円 |
| 解体費 | - 130万円 |
| 解体補助金 | + 30万円 |
| 仲介・諸経費 | - 88.6万円 |
| 売却価格(買取は2〜3割安) | + 1,500万円 |
| 家財整理費 | 0円(業者対応) |
| 仲介手数料 | 0円 |
| 印紙税・登記 | - 16万円 |
費用が跳ね上がる5つの落とし穴
- 1
遠方居住で立会いができない
業者作業の現場確認ができないと、見積もりの 1.5倍以上に膨らむことも。写真・動画レポートで進捗共有してくれる業者を選ぶ。
- 2
境界が不明
測量に 35〜80万円が想定外に追加されるケース。隣地交渉が難航すると 3〜6ヶ月売却が遅れる。
- 3
残置物が想定以上
押入れ・屋根裏・倉庫の中身まで確認せず見積もりを取ると、現地調査時に追加見積もりに。
- 4
アスベストが見つかった
事前調査でアスベスト含有が判明すると、解体費用が 数十万円〜数百万円跳ね上がる。
- 5
再建築不可・接道なし・市街化調整区域
建築基準法上の制限がある物件は、売却価格が想定の半分以下になることも。解体前に必ず査定を取る。
費用を抑える4つの方法
- 補助金を活用する — 埼玉県内の市町村別解体補助金で 30〜100万円の負担軽減。
- 相見積もりを取る — 業者によって 30〜50% の差が出るのが普通。最低3社、できれば5社。
- 買取可能な家財をリサイクル — 桐箪笥・茶道具・骨董品・カメラなど、数万〜数十万円になることも。
- ワンストップ業者を活用する — 個別手配より総額で 10〜20% 安くなるケースが多い。